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2020/06/02 09:44


綾里(りょうり)が位置しているのは、岩手県大船渡市の東側。太平洋に突き出した半島状の地形になっています。

山と海に挟まれた小さな谷あいに集落がありますが、大船渡市内からは車で30分かかる、奥まった場所になります。
道路が整備されていない時代には、陸の孤島として非常に不便な場所だったそうですが、好漁場であることから縄文時代から人が住み続けてきました。目の前の海には魚介類、川には鮭が登り、山に入れば鹿、山菜と、確かに縄文人にとっても魅力的な場所だったんだろうなと感じられます。


道路交通面では多少不便な綾里ですが、三陸鉄道が地域を貫通していますので、鉄道を利用すると便利です。
地域内には、綾里駅、恋し浜駅の2駅があり、恋し浜駅は、日本で4つある「恋」のつく駅として有名です。

この綾里ですが、人口約2500人のうち、半分くらいの方が漁業に関わる、典型的な漁村となります。
採れる魚種は、

ワカメ


ホタテ

が有名どころですが、


サケ


マグロなんかも忘れてはいけません。
アワビ、ホヤ、昆布、ブリ、イカ、ヒラメ、アイナメ、タコ、アナゴと、とれる魚をあげだすとキリがありませんね。

育てる漁業(養殖)、獲る漁業(漁船漁業)、両方とも非常に盛んな地域です。

この他に、「磯漁」と呼ばれる、ウニやアワビの漁があります。

岸に近い岩場・海底にはりついている、ウニやアワビを長い竿でとる漁業ですね。

天然資源に依存した漁業ですので、漁が開口日に限られるように、資源保護されながら漁獲がされています。


東日本大震災では、養殖施設、陸上設備、船、網など莫大な設備が破壊・流出しました。

綾里は津波常襲地帯のど真ん中。

1896年の明治三陸津波、1933年の昭和三陸津波、1960年のチリ地震津波、2011年の東日本大震災と、直近124年の間に4回の巨大津波に襲われています。こうした大津波以外にも、小規模津波は毎年のように発生しているのです。

そのため、多くの家屋は海から離れた高台にあり、避難訓練、消防団活動など防災活動が徹底されています。
といったように、厳しい自然にさらされつつも、豊かな海に恵まれて生活が成り立っているのが綾里という地域です。
ここでは人の営みは自然のリズムに従い、春はワカメ、夏はウニ、秋はサケ、冬はアワビといったように、それぞれの漁を終えては次の漁の準備と、家族全体の生活が漁と結びついて流れていきます。

少子高齢化、担い手不足、不漁に天災と、漁家の暮らしは苦労や課題だらけですが、「それでも海から離れられねえ」と、人々は海と向き合い暮らしてます。



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